プロポーズは突然に。
懐かしい温もり
「ちょっとっ!聞いてんの?」
真横から聞こえてきたその声にハッとした。
私は、未だにカゴの取手部分を掴んで動けないままだった。
嫌でも蘇ってくる、あのとき聞こえた高笑いと馬鹿にしたような薄ら笑い。
逃げたい、逃げたい、でも…体が言うことを聞かない。
そんな私を薄ら笑いを浮かべながら見下ろすユキという女。
「死んだんならすぐに報告してくれないと~。あれから一度も学校来なかったから面白くなかったんだよ?」
────やめて……
「今も相変わらず汚いことしてんの?」
────もうやめてよ……
昔は、こんなのどうってことなかったのに。
いつからこんなに弱い人間になってしまったんだろう。
何も聞きたくない。耳を塞いでしまいたい。
そんな風に逃げることばかり考えている今の私は……すごく脆い。
「本当、あんたって────────」