プロポーズは突然に。



いつも自分の気持ちは胸に閉まってた。


だけど彼と出逢って、ちゃんと泣けるようになって、ちゃんと本音を言えるようになって…


いつの間にか、溺れるほどに好きになっていたんだ。





「…同情でも哀れみでもいいから…お願いだから私から離れないで…」




彼の服の裾を掴みながら、乞うようにそんな情けない言葉を口から出してしまうほどに。






「……同情でも哀れみでもない。俺はずっとおまえを想ってて………」





私から体を離した彼は、その先の言葉を言うのを躊躇うような表情を見せた。




「後悔してた。ずっと、」




躊躇いながらもそう言った彼は、私の目を真っ直ぐに見て…そして私の両手をソッと取り、ギュッと握る。


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