プロポーズは突然に。
その雑誌は、海外でしか売ってなくて国内にはないものだった。
だから、もしかしたら向こうの美容事情に興味があるのかな、なんて一瞬思ったけど…
すぐに絶対違うだろうと思った。
雰囲気こそはやけに大人びているものの、どこかあどけなさの残るその女はきっと中学生か高校生か…
だけど、そのくらいの歳のわりには本当に垢抜けてなくて、ファッションにもメイクにも…何なら世の中のもの全てに興味がないような、そんな冷めきったオーラを出していたから。
目的はよく分からなかったものの、全く真剣に読んでいなかった俺は、言われるままに女に雑誌を手渡した。
それを受け取り、軽くお辞儀をした女は、少し距離を空けて俺の横に腰を掛けると、その雑誌を食い入るように眺めていた。
何をそんなに真剣に見ているのか気になった俺は、隣からソッと覗き込むように視線を落とす。
その先に見えたのは海外でも有名な日本人メイクアップアーティストの特集ページで…
俺もよく知っているその人は父の古い友人で、何年か前にスキャンダルを起こしたか何かで活躍の場を海外に移したとか、そんな感じの人だったと思う。
何せそういうニュースに全く興味がない俺は、当時はその程度のことしか知らなかった。
モデルでもなく、化粧品でもなく、ただただそのページだけを眺めている女を見て、
ますます変な女だと思った。