プロポーズは突然に。
でも、尻込みしてる場合じゃない。
私はこの人に聞かないといけないことが山ほどあるんだから。
「あの、赤羽さん」
「聡」
「…?」
「プライベートは下の名前で呼べ。あと敬語もやめろ」
「目上の方にそんな失礼なことはできません」
「本当にお堅い女だな。結婚したらおまえも赤羽になるんだから苗字で呼ぶのおかしいだろ」
「勝手に決めないでください。私は一生結婚するつもりはありません」
「ふーん…そうなんだ」
二杯目に頼んだ赤ワインを一気に飲み干した彼は、昨日と同じように不敵な笑みを見せていた。
さすがにこの笑顔には尻込みしそうになる。
「やっぱりおまえは理想通りの女だ」
「え?」
「俺もできれば一生結婚なんてしたくはない。自分の生活が他人に乱されるの大嫌いだからな」
「…」
「恋愛だって馬鹿らしい。あんなのは時間と金の無駄だ。女はいつだって媚びて弱さをアピールする。守られて当たり前みたいな顔する女ばかりで鬱陶しい」
「…つまり何が言いたいんですか?」
「つまり、おまえはそういう面倒くさい女じゃないってことだ。結婚してもお互い割り切って生活できる」