プロポーズは突然に。
「桃華のほうが何倍も可愛いだろ」
「…ゴホッ!ゴホッ!」
「…?どうした?」
「いえ…」
思わずむせてしまったのは動揺したからだった。
男の人から可愛いなんて言われたの…
大人になって初めてかもしれない。
大抵いつも可愛くないって言われてフラれるのに…
「桃華はしっかり自分を持ってる。こういう席でも女っぽさをアピールせず好きな酒を好きなだけ飲んでて見てて気持ちいい」
「そうでしょうか?大体引かれますけど」
「俺は引かない。それに桃華は恋愛にうつつ抜かすような馬鹿な女でもなさそうだしな」
「それはその通りです。面倒な恋愛は嫌いですから」
そうだ、恋愛ですら面倒だと思ってる私が結婚だなんてとんでもない話。
「一昨日、その台詞を男に堂々と言い放った桃華を見て結婚するならこういう女がいいと思った」
「私を見て…?」
「あぁ。あの日俺もこのバーにいたから」