プロポーズは突然に。
「おまえは何もしなくていい」
「え……?」
「俺がおまえに尽くして、死ぬほど愛してやるんだから」
隣に座っている彼に一瞬で引き寄せられ、
彼の腕の中で聞こえてきたその言葉は
私にとって悪魔の囁きだった。
「ずっと欲しくて欲しくて仕方なかったもの、やっと手に入れた…」
私を抱きしめる彼の手にしっかりと握られた婚姻届が、もう後戻りはできないと証明しているようで…
ついさっきまで感じなかった婚姻届の重みが
ズシッとのし掛かったような気がしていた──