プロポーズは突然に。
「言ってる意味が…」
―――ピンポーン
私の言葉はその音によって遮られてしまった。
核心に触れることはできていないが、結果的には良かったのかもしれない。
彼の力もその音で緩み、腕から抜け出すことに成功したのだから。
「迎えが来たみたいだな」
「迎え?」
「あぁ。日下に連絡して車回してもらった」
「そうですか。じゃあお気を付けて」
引き寄せられた時に掴まれた腕が痛む。
…この人が帰ったら取り敢えずシャワーを浴びよう。
触れられたところを洗い流すんだ。
「さっき言っただろ?婚姻届を書いたら即俺の家に連れてくって。必要な荷物だけ纏めろ」
「え?それって…」
「今日から俺とおまえは一緒に住むってこと。ここを出る手続きも進めてるからうちに来ないとおまえの住むところはもうない」
「…、っ…なんでっ…」
「夫婦なんだから当たり前だろ?」
「当たり前…」