プロポーズは突然に。
「どうぞ、奥様」
「奥様はやめてください…」
乗降時、わざわざ車のドアを開閉してくれる日下さんに戸惑うばかり。
それも奥様って…私はただの庶民なのに。
見覚えのある景色から思うに、ここは職場のビルから徒歩10分といったとこだろうか。
高立地な場所にあるこのタワーマンションは24時間365日警備員さんが常駐しており、セキュリティも万全らしい。
「凄い…」
彼に感謝なんて微塵もできないけど、現在の私が思いきり動揺して戸惑っているのは紛れもない事実。
一流ブランドの副社長なわけだし、凄い部屋に住んでるんだろうと予想はしていたけど…
連れてこられたのはそれをも上回る物凄い、とにかく凄すぎる空間だ。
最上階である42階に住んでいる彼は、生まれながらのセレブなのだと思い知らされた。