プロポーズは突然に。






「どうぞ、奥様」

「奥様はやめてください…」




乗降時、わざわざ車のドアを開閉してくれる日下さんに戸惑うばかり。


それも奥様って…私はただの庶民なのに。



見覚えのある景色から思うに、ここは職場のビルから徒歩10分といったとこだろうか。



高立地な場所にあるこのタワーマンションは24時間365日警備員さんが常駐しており、セキュリティも万全らしい。



「凄い…」



彼に感謝なんて微塵もできないけど、現在の私が思いきり動揺して戸惑っているのは紛れもない事実。


一流ブランドの副社長なわけだし、凄い部屋に住んでるんだろうと予想はしていたけど…


連れてこられたのはそれをも上回る物凄い、とにかく凄すぎる空間だ。



最上階である42階に住んでいる彼は、生まれながらのセレブなのだと思い知らされた。



< 67 / 370 >

この作品をシェア

pagetop