プロポーズは突然に。





「聡様、奥様のお荷物全て運び終わりました」

「ご苦労様。すぐ降りるから車で待っててくれ」

「かしこまりました」




私の荷物を部屋まで運んでくれた日下さんは、彼の指示に従うように頭を下げ部屋から出て行った。


秘書兼付き人をしているらしい日下さんの綺麗な姿勢と丁寧な言葉遣い、そして品のある立ち振舞い。


彼の側にいるには打ってつけと言える。




「桃華、俺会社に戻るから」

「これから…ですか?」

「あぁ。お腹空いたら冷蔵庫の食材好きに使っていい」

「…分かりました」




そういえばバッティングセンターにいる時も、私の家にいる時も、車で移動中も、彼の携帯は頻繁に鳴っていた。


本当に忙しい人なんだ…



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