プロポーズは突然に。





翌朝、私はソファーの上で朝を迎えた。


4つあるベッドルームはどの部屋も恐ろしいくらいきっちりとベッドメイキングされていてどうも落ち着かない。


それでリビングのソファーで寝ることにしたわけだけど…


このソファーが私でも知っているほど有名なイタリアの高級家具メーカーのものだと気付き、とても寝転がることなんてできず座ったまま夜を越したのだ。



「全っ然眠れなかった…」



取り敢えずメイクをしようと向かったのは、白基調の洗面カウンターに大理石のモザイクタイルがアクセントになっているパウダールーム。


そこに設置された棚に置かれている基礎化粧品、スキンケア用品、メーキャップ化粧品は全てロッソ・ピウマのもので軽く後退りした。



彼はここに置いてあるものも自由に使っていいと言っていたけれど…


恐れ多くてとても使えない。自分で持ってきたものを使おう。



そう決めた私はいつも使っているものでいつも通りのメイクを施していく。


でも口紅だけは…愛用のものを使うのをやめようと思う。


新しいものを買うまでリップクリームを塗っておこう。




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