プロポーズは突然に。
洗いざらい、と言われても自分でもよく分からないのに一体どう話せばいいのやら…
そんなことを悩んでしまい、俯きながらお店に入るとドタバタとこちらに駆けてくる足音が聞こえてきて顔を上げる。
「あ!やっと来やがった」
「え?あ、本当だ」
「オーナーと優子さん…おはようございます。今朝は随分早いんですね」
いつもなら一番下っ端の私が一番に出勤して掃除や準備などをするのだけれど、今日は何故だかオーナーと優子さんが私よりも早く出勤していて…
というより、私を待ち構えていたらしい。
その証拠に、二人ともさっきの咲ちゃんと同じように私に詰め寄ってくる。
「「桃ちゃん、結婚するって本当!?」」
「え?一体どこからその情報…」
困惑しながらも否定しない私に二人は目をパチクリさせて顔を見合わせる。
「優ちゃん、今日はエイプリルフールだっけ?」
「オーナー、朝からお茶目な質問はやめてください。今日は10月26日です」
「だよね、だよね。じゃあ夢かな?」
「現実だと分からせるためにほっぺをつねっても差し支えありませんか?」
「いや…遠慮しておくよ」
「そうですか、残念です」
…どうやら面倒なことというのは続くものらしい。