プロポーズは突然に。


「じゃあ本当だったんだ。昨日の昼、突然副社長から電話があったから何事かと思ったよ」

「え…?あの、彼は何て?」

「んーっと…“香坂さんと結婚することになりました。明日の夜、父に彼女を紹介するので少し早く帰らせていただきたい”みたいな感じだったかな」



昨日の昼というと…


私は芽衣子の家にいて、まだバッティングセンターに行く前だ。


婚姻届にサインをする前の段階でオーナーに連絡するなんて抜かりない。




「桃ちゃんって恋愛系の話一切しないしそういう部分冷めてると思ってたのに電撃婚なんてやるね」

「いえ、色々ありまして…」

「いいと思うよ。桃ちゃんが幸せになってくれたら俺も嬉しいし。今日早く帰っていいからね」

「…」




上機嫌に開店準備を始めるオーナーに、脅しに近いことを言われたとか罰ゲームみたいな形で婚姻届にサインしたなんて…

とても言えない。




「ちっ、リア充は爆発しろ」

「優子さん、怖いので真顔で言わないで下さい」

「今日時間合わせてランチ、事情聴取、これは先輩命令。OK?」

「はい…」




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