プロポーズは突然に。
通話を終えた彼はパソコンを打ち込む手を止めてこちらに視線を落とす。
「お疲れ。悪いな、仕事抜けさせて。平気か?」
「お疲れ様です。はい、平気です」
私の返事を聞くと彼は頷き、再びパソコンに視線を戻した。
「LINEの返事」
「はい?」
「迎えに行く時間知らせるために昼LINE送ってただろ?」
「あぁ…今日は昼休憩がいつもより遅かったんです。すぐに返信できずすみません」
「ふっ、」
カタカタとパソコンを打ち込みながら彼が不意に見せた笑顔に疑問を感じる。
…何か笑うようなところ、今の会話の中にあっただろうか。
考えていると彼はLINEの画面を開き私に見せる。
「このスタンプが返事か?」
「え?はい。了解しましたって書いてますし…」
そこまで言って、しまった、と思った。
お昼を食べてお店に戻った後、つまり休憩が終わるギリギリでLINEに気が付いた時は驚いた。
彼もLINEとかするんだ…って。
それで時間がなかったものだから焦ってスタンプで返信したんだった。
しかも全然可愛くない、“ビールを持ったシュールなネコスタンプ”…
これはさすがに…ダメなやつだ。