プロポーズは突然に。
「拒絶しても無駄だ。おまえの全てを俺の色に染めてやる」
「…私は何色にも染まりません」
長い腕と足を組んでいる彼を睨み付けながら思いきり唇を拭う。
「…随分反抗的だな」
「ホームラン打ったら婚姻届にサインなんて条件、軽々しく飲んだ馬鹿な自分を悔いています。あなたと結婚なんてしたくはありません。お父様に反対されることを祈ります」
―――強い女性でありたい。
どんな逆境にも負けず、
簡単に泣いたりもせず、
真っ直ぐ背筋を伸ばして、
何色にも染まらない。
私はそんな女性でいたいんだ。