プロポーズは突然に。
塵一つないリビングに置かれたイタリア製のお高いソファー。
そんな場所で二人肩を並べて熱燗って…ないな。
赤ワインが妥当だったか?
なんて、そんなどうでもいいことを考えながら徳利に入った日本酒を御猪口に入れる。
彼が程よい温度にお燗してくれたそれが心地よく口の中に広がるとポロリと漏れる本音。
「美味しー…幸せ…」
幸せに浸っている場合ではないのは重々承知なんだ。
でも、どうも私は面倒なことに直面したときお酒に逃げる癖があるらしい。
「本当におまえは可愛いな」
ソファーの前にある硝子天板のローテーブル。
そこに御猪口を置いた彼は、覗き込むように私を見ながら唐突にそんなことを言う。