秘密の恋は1年後
廊下の途中にあるアルコープに立ち、ドアを開けた彼は先に部屋に入った。
大理石で艶々の広い玄関でサンダルを脱ぎ、彼に続いて通されたリビングの広さに絶句する。
綺麗に片付いたリビングの一角にはアイランドキッチンがあり、少し幅のあるバルコニーが窓の外からリビングを囲んでいる。
脚の短いコーナーソファとローテーブル、ダイニングテーブルのセットはすべて白とブラウンで統一され、ローテーブルの下には洒落た柄のラグが敷いてあった。
「本当に、ここにおひとりで住んでいるんですか!?」
「そうだよ。今日からは、まひるとふたりだけど」
「…………」
しまった。自ら墓穴を掘ったようなことを言ってしまったと軽く後悔する。
さっきまで車内で気まずかったから、ちょうどいい返事が見つけられなくて黙り込んだ。