秘密の恋は1年後
彼女は俺のもの ―side尚斗
【とても美味しかったです! 今日は何時頃に帰れそうですか?】
俺には「会いたい」とか言わないくせに、兄貴とは会うのかよ。
……どういうつもり?
たまたま通りかかった店先に、兄貴の愛車が停まってたから覗いてみれば、向かい合って楽しげに話してて。
別に、仲よくするのはいいんだよ。紹介したのは俺だし。
そういうことじゃなくて、なんていうか……ムカつく。
【おやすみ】なんて連絡したけれど、ロックグラスに入れたブランデーを少しずつ飲みながら、一日の終わりの余韻に浸っているところ。
いつになったら、駒沢に来る気になるんだ、まひるは。
いつまで俺をこうやって放っておくわけ?
彼女からの連絡が途絶え、代わりに送られてきたのは兄貴からのメッセージ。
【今日、彼女と会ったよ。お前、もうちょっと彼女に優しくしてやれば?】
……まひる、兄貴になにを話したんだ?
兄貴からのメッセージにも既読だけつけて返事はせず、キッチンにグラスを置いてリビングを出る。
着ていたYシャツを洗面室の床に脱ぎ捨て、頭からシャワーを浴びた。