秘密の恋は1年後
五月も終わりが近づき、天気予報に前線が現れたり、アスファルトや土の匂いに気づいて雲行きを伺ったり、梅雨っぽさを感じるようになった。
そして、理由を聞かずに彼女を帰してから、激しい後悔の念に苛まれている。
理由を聞いても言い出しにくそうにしているまひるを見ていたら、なんとなく察しが付いてしまったのだ。
……初めての営みに、ご不満だったんじゃないかと。
俺なりに初めてだった彼女を気遣って、愛したはずだった。
できるだけ痛みを感じないようにと、先にたくさんかわいがって気持ちもほぐしてから繋がった。
今まで、不満を言われたことはない。かといって、ものすごく自信があるわけでもないけど、普通だとは思ってる。
っていうか、そこって人と比べようがないし……。