秘密の恋は1年後
「……ん?」
《あのっ……》
「なに?」
《す、好き、です。……お、おやすみなさいっ!!》
不意を突かれ、言葉を飲んだ刹那のうちに、電話は切られてしまった。
「はぁー……」
つい、手のひらで額を支えながら深く息をつく。
なんでこんなタイミングで言うんだよ。こっちは会いたくて電話したっていうのに。
「バーカ」
小さく呟き、くしゃくしゃと髪を崩してから、シャワーを浴びるためにYシャツを脱ぎ捨てた。
翌日、ホテルを出て福岡から神戸へ向かった。
朝から彼女はメッセージを送ってくれているけれど、既読を付けるだけにした。昨夜のことを思い出さないように気を引き締め、仕事に集中するためだ。
夕方前に打ち合わせが終わり、ホテルに戻ってからは持ってきたタブレットでデスクワークをこなした。そして、今夜も予想通り客先に引っ張られ、夜の街へ繰り出す。
二十三時。
ようやく二日目の夜の終わりが見えてきた。
早く彼女に会いたいと思いつつ、ゆっくり眠りについた。