秘密の恋は1年後

 金曜の朝、出勤中の電車で友人にメッセージを返す。

 結衣さんとも何度かやり取りをしていて、ポテトサラダを教えてもらえるよう、来週の平日の夜に少しだけ時間をもらえることになった。
 彼好みの味を尚斗さんに振る舞ったら、喜んでくれるかなぁ。

 バッグに携帯をしまおうとしたら、手の中で短く震えた。


【おはよう。今日は遅くなる?】

 思いがけず届いた尚斗さんからのメッセージに、飛び跳ねたくなるほど嬉しくなった。


【おはようございます! 定時で帰る予定でいます。尚斗さんは忙しいですよね?】

 すぐに返したら、間を置かずに既読のマークが付いた。きっと返事が送られてくるだろうと、携帯を見つめる。

 だけど、乗り換えの駅に着いても、会社の最寄駅に着いても、彼は返事をくれなくて。
【今日も頑張りましょう! また連絡くださいね】と自分から追加でメッセージを送ってしまった。

 朝は誰もが忙しい時間だから仕方がないと言い聞かせ、社屋に入り、エレベーターの列に並んだ。

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