秘密の恋は1年後
「俺に会いたかっただろ?」
素直に頷き、運転する彼の左の横顔を見たら、一瞬だけ頬にほんのり赤みが差したように見えた。
そのまま、車は駒沢の自宅へ。地下駐車場で降りるとロビー階を通り、五階の自宅にお邪魔した。
リビングに入った彼は、ダイニングチェアにバッグを置き、ジャケットを脱いで背もたれにかけている。
だけど、以前来た時とは違う室内の様子に、私は目を泳がせずにいられなかった。
リビングのソファの傍らには数日分の新聞が積まれ、おそらく洗面室に置かれているはずのバスケットがドアの近くにあり、Yシャツなどがこんもりとしている。
アイランドキッチンには、使ったカップやグラスが並び、デリバリーピザの紙トレーがふたつ重なっていた。
少しすると、キッチンからお掃除ロボットが顔を出し、私の前を通り過ぎてリビング側へと掃除をしていく。
「だから言っただろ? 化けの皮なんてすぐ剥がれるって」
ぽかんとしている私の前で彼はYシャツを大胆に脱いでバスケットに放り、廊下の途中にあるウォークインクローゼットに入っていった。