秘密の恋は1年後
帰りに寄ったスーパーで買ったミルクコーヒー味のアイスを食べながら、料理の腕を上げるためにレシピを検索する。
今日までに作った中で、彼が特に気に入ってくれたのは、豚の生姜焼きとビーフカレー、焼き餃子、半熟卵のオムライス……。
魚料理を出すと、食べてくれるものの褒められたことはなく、どうしたら合格点がもらえるのか試行錯誤中だ。
彼は今のままでいいと言ってくれたけれどそうはいかない。
常に向上心は持っていたいし、日々のすべてが彼で埋め尽くされてしまうのは違うはず。一緒にいたいと思うのと彼の存在を必要に感じるのは別の話で、依存だけはしたくないと思うから。
なので、本当はこういう隙間時間に小説を読みたいけれど、どんなことでも前向きに、自分が納得できる形で頑張った時のご褒美に取っておこう。
「ただいま」
十九時半前に、尚斗さんが帰ってきた。
スリッパの音を軽快に鳴らしながらリビングを出て、靴を脱いだばかりの彼を出迎える。