秘密の恋は1年後
「尚斗さん」
「んー?」
「ご確認をお願いします」
本から視線を上げた彼に、手帳を差し出す。
「項目少なくないか?」
「これから増やしますよ。まずは、一番上のチェックをしてもらいたいんです」
「なるほど。ちょっと待ってて」
そう言うと、彼は立ち上がって、手帳を持ったままリビングの傍らにあるシェルフの前に立った。
なにをしているのかと彼を見つめていると、すぐに戻ってきて、開かれたままの手帳が返された。
「これでいいか?」
一番上のポテトサラダの欄に、【千堂】のネーム印が押され、昨日の日付が書かれていた。
これならやる気が出そうだし、もっと彼の印を集めたくなっちゃうなぁ。
それに、仕事の確認印のようで、尚斗さんが直属の上長だったらと想像が膨らんでしまいそうだ。
「ありがとうございます」
「ま、頑張れ」
そっけなく応援されたけれど、私が向上心を持って努力を続けたら、きっと彼も喜んでくれるだろう。