秘密の恋は1年後
灼熱の恋は記憶に焼きついて
七月は猛烈な暑さで、日焼け止めを塗っても肌が焼けそうだ。
差していた日傘を閉じて社屋に入ると、来客用のソファに座っている姉の美桜を見つけた。
彼女もまた、出勤した私に向かって歩いてくる。
「おはよう、美桜ちゃん。今日も暑いね」
「そんなことはどーでもいいのよ!」
「え?」
真剣な顔の彼女は、どうやらご立腹のようだ。
だけど、姉を怒らせる理由に心当たりがなく、きょとんとしたまま間を置く。
「昨日も一昨日も、一体どこに行ってたわけ?」
「どこって、会社に」
「夜は? 家に帰らないで、誰とどこにいたの? 用があって家に行ったのに、応答もなく真っ暗だったけど」
「……えっと、それは」
姉にも隠している尚斗さんとの交際を、ここで明かしていいのかな。
でも、彼と秘密にすると約束しているし、まだ三カ月も経っていないのに彼が解禁してくれるとも思えない。