秘密の恋は1年後

「二人で泊まるには随分大きいですね……。コテージじゃなくて、完全に別荘じゃないですか」
「そうだよ。俺の別荘」
「尚斗さん、別荘を持ってたんですか!?」

 てっきり貸別荘だと思っていたのに、想像をはるかに超えてきて足が竦みそうだ。


「ちなみに、一番大きい和風のが親の別荘で、黒壁と大窓が目立つ方が兄貴の」
「普通、一家に一軒じゃないんですか? こういうのって」
「さぁ?」

 驚きっぱなしの私を置いて、彼が自分の別荘に向かっていく。


「ま、待ってください! あの、車が停まってるってことは」
「あぁ、兄貴たちと親も来てるよ」
「ええっ!?」
「うるさい」

 静かな森に、私の驚嘆の声が響く。
 うるさいと言われようとなんだろうと、まさかの連続で気持ちが追いつかないのだ。


 玄関に荷物を置くと、彼はすぐにドアを閉めた。

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