秘密の恋は1年後
「尚斗さんって、本当は意地悪ですよねっ!」
ずっと思っていたことを言い返せば、ビールをぐいっと飲んだ彼が微笑み返してくる。
それも、憎たらしいほど綺麗で、ドキッとさせられる最高の一撃で。
「その意地悪で、毎晩泣くほど別荘で感じてたのは誰だっけ?」
「っ……!!」
むうっと唇を尖らせ、一層頬に熱を帯びながら、私は夜食の準備に取り掛かった。
軽井沢での初日は千堂家の皆さんと一緒に過ごしたけれど、三日三晩、彼との熱い夜が待ち構えていた。
毎夜、時間を気にしなくていいからと、彼の気が済むまで抱かれ、経験したことのない快感の渦に飲み込まれる度に、私は無意識のうちに泣いてしまったのだ。
そんな私を見た彼は「かわいい」と何度も言い、身体が壊れてしまいそうになるほどの愛をぶつけてきて……。
まだまだ思い出す必要がないほど生々しく記憶に新しい。
「なに考えてんの? 欲しそうな顔して」
「っ!! な、なにも考えてないですっ!」
キッチンに立ってぼんやりしてしまっていた私を眺める彼は、とても楽しそうに妖艶な笑みを見せた。