秘密の恋は1年後
「確かにお預かりいたします。ご対応ありがとうございました」
「あとはよろしく頼みますね」
「かしこまりました」
今日はこれから外出されるらしく、ついでに立ち寄ると連絡を受けていたから、朝からずっとドキドキしていた。
千堂尚斗副社長は、三十一歳にしてその手腕を買われ、数年前から現職に就いているいわゆるデキる男。
百八十四センチの高身長はスタイル抜群で、清潔感のあるダークブラウンの髪は毛先に緩いパーマがかかっていてお洒落。大きな手は男性らしく、指も長くて形がいい。
爽やかな笑顔を惜しげもなく振りまけば、社内中の女子が頬を染めてしまうような魅力を持ち、通った鼻筋と涼しげな二重の目元、左目の下にある小さなほくろが印象的だ。
今日着ているネイビーのスーツとクレリックシャツは、彼によく似合っている。
……やっぱり素敵だなぁ。
無意識のうちに見惚れてしまっていたと気づき、私は慌てて視線を逸らした。