秘密の恋は1年後

 ルームウェアに着替えた彼は、ダイニングテーブルに所狭しと並んだご馳走に目を丸くした。


「これ、何日分?」
「今日の分ですよ」
「いやいや、量! 相撲部屋じゃないんだから」

 チキン南蛮、海鮮炒飯、デミグラスソースのハンバーグ、塩ドレッシングのサラダ、山のようにこんもりと盛り付けたポテトサラダ……。
 正直、作りすぎたとは思っているけれど、目にも楽しいパーティーにしたかったのだ。
 残しても数日で食べられるようなものばかりにしてあるし、特に問題はない。


「じゃあ、愛斗さんたちをご招待しましょうか? 明日なら都合が合うかもしれないし」
「いや、いい。絶対に呼ばないで」
「どうしてですか? 誕生日のお祝いなんですよ?」
「いい歳して誕生日パーティーとか、兄貴に笑われるだろ。それに、お前とふたりだからいいんだよ」

 さらっと甘いことを言う彼は、缶ビールをグラスに注いで一気に飲んだ。

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