秘密の恋は1年後
どれもこれも美味しいと言って、ほとんどを平らげてくれた。細身なのに、結構食べる尚斗さんは太らないから羨ましい。
「ケーキ、入りますか?」
「うん」
食事を済ませて、リビングのソファで寛いでいる彼に確かめる。
「公園の向こう側にあるケーキ屋で買ってきたのか?」
「違いますよ」
散歩した時に教えてもらったその店で買っても良かったけれど、初めてお祝いする彼の誕生日は全部手作りにこだわったのだ。
四号サイズで作ったケーキに、そっと蝋燭を挿して火を灯す。
部屋を暗くしなくても、リビング側の照明を落としてあるのでムードは完璧だ。
「おっ、すごいな。綺麗なケーキ」
「蝋燭、消してください」
彼が唇をとがらせて、ふーっと息を吹きかける。
「まひる、ありがとう」
隣に座って小さく手を叩きながら祝うと、彼は頬にキスをくれた。