秘密の恋は1年後

「尚斗さんは……まだ、忙しくしてるのかな」

 夕方に、定時で帰るとメッセージを送っておいたけれど、まだ既読は付いていない。
 年末年始はゆっくりできると言っていたから、今日は抱えているすべての仕事をやりきって帰ってくるのだろう。

 クリスマスは平日で、彼が多忙を極めていたこともあり、特になにもなく過ぎ去ってしまったから、年末くらいはゆっくり過ごしてもらいたいな。
 先月の誕生日にプレゼントしたタンブラーで、好きなお酒を楽しみながら、のんびり語らうだけで満足だ。


 日付が変わる頃、ようやく尚斗さんが帰宅した。


「ひゃあっ!!」
「あははは。冷たい?」

 先に寝支度を済ませていた私が玄関で出迎えると、キンと冷えた大きな手で頬を包まれて飛び上がってしまった。

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