秘密の恋は1年後
「お前を幸せにしたいから、結婚して」
「さっきと違う気がします」
「いいんだよ! 二回もプロポーズさせておいて我儘言うなよ」
絶対に真っ赤になっている彼の顔が見たくて、そっと胸元から顔をあげてみる。
「……返事は?」
ちゅっと音を立ててキスをされ、唇から彼の熱が移ってきたようだ。
そのあとも、啄むようにキスを何度もされて、どちらからともなく微笑みを向け、またギュッと抱きしめあう。
「尚斗さんの、奥さんになります」
今の気持ちを込めた返事をしたら、耳にもうひとつキスをされた。
彼が持っていた小さな袋に入っていたのは、婚約指輪だった。
半周にダイヤが敷き詰められていて、煌めく存在に目を丸くする。
「本当はクリスマスに渡そうと思ってたんだけどさ。ごめんな、遅くなって」
左手の薬指に輝くそれは、彼と私を永遠に結び付ける約束の輝きを放っていた。