秘密の恋は1年後
元旦は、それぞれ実家に帰って久々に一家団欒で過ごした。
やっぱり実家は最高だ。
思い切り羽が伸ばせるし、美桜ちゃんとも時間を気にせずガールズトークができる。
「まひる、その指輪どうしたの?」
夕食の食卓で、尚斗さんからもらった婚約指輪を着けた。
彼が挨拶に来る前に、両親に現状を話しておこうと思ったからだ。
「お付き合いしている人がいて、この前プロポーズしていただきました。なので、彼が挨拶に来る予定を立てたいんだけど……」
「あら! いいじゃない! どんな人なの? 美桜は知ってた?」
「知ってたもなにも、まひるの会社の社長だから」
「ええっ!? 社長さんとまひるが!?」
動揺して右往左往する母の横で、父はどっしりと座り、お雑煮を食べている。
昔からそうだ。なにがあってもひとまず騒がず、受け入れてから言葉にする人だ。それが、幼い時は怖かったけれど、大人になった今は頼もしくて、わが家の大黒柱が父でよかったと思わせてくれる。