秘密の恋は1年後

「社長さんなら、年明けからまた忙しくなるだろう。三が日の間に都合がつくようなら、連れてきなさい」
「うん」

 父親がそう言うと、母親は美容室に行っておけばよかったとか、もてなしはなにがいいかとソワソワしている。
 昔から父親の手のひらの上で動いているようなところがあったから、この歳になっても母のそういうところは見ていてかわいらしいと思う。
 もしかしたら、尚斗さんのお母様と気が合うかもしれないなぁ。




 ――年末年始の休暇は、確実に私の体重を増やしてくれた。
 手帳に箇条書きにした目標のうち、尚斗さんがまだ合格印をくれないのは、スタイルアップの項目だけ。一番下には、まだ余白がある。

 新年の三日に、尚斗さんは私の実家に挨拶に来てくれた。
 初めて両親に紹介する恋人なので、どうしたらいいのか分からずにいたけれど、家に入る前に「まひるはそのままでいていいから。俺がちゃんとするところだから」と言ってくれたので安心していられた。

< 332 / 346 >

この作品をシェア

pagetop