秘密の恋は1年後

「いいよ、それでも。完璧なお前と結婚したいわけじゃない。俺は、一年前にひと目惚れした時から、ずっと好きなんだから」
「でも、ずっと尚斗さんに相応しい女性になろうとしてきたのに、なかなか追いつかなくて……」
「俺は、お前が頑張ってきたのを目の前で見てきた。人事部長から上がってきてる評価だって上々だ。俺の家族だってまひるのことが大好きだし、結衣ちゃんは妹ができたってすごく喜んでくれてる。なによりも、こんな俺と向き合って、この数か月一緒にいてくれただろ? もう十分だよ」

 どんなに頑張っても、自分に自信がついたかは分からないけれど、こうして認めてくれるのが他でもない彼なのだと気づかされ、またひとつ前を向くことができた。


「まったく……。どれだけ愛せば、お前は俺のものになるんだ?」
「……もうなってます」

 ギュッと抱きしめてくれる彼の温もりも、腕の力も、香水のほのかなラストノートも、私を勇気づけてくれる。


 彼が隣にいてくれる。そして、ずっと一緒に暮らしていける。

 恋焦がれて、夢中にさせられた尚斗さんと、一生愛し合っていける。

 こんなに幸せな恋は、二度とないだろう。

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