秘密の恋は1年後
「失礼ですが、麻生さんはおいくつなんですか?」
「二十五歳です。入社して三年目になります」
結衣さんの問いかけに答えつつ、千堂社長にひと目ぼれして、片想いを続けてから三年も経つのかと振り返る。
「尚斗が三十一で、麻生さんは二十五か」
「私たちがお付き合いを始めたのもそのくらいでしたよね?」
「そうだな。三年前か……懐かしいなぁ」
愛斗さんと結衣さんがダイニングテーブルに並んで座り、見つめ合っているのが微笑ましい。
誰が見ても素敵な旦那さんと、かわいらしい奥さんはとても絵になる。
「それで、尚斗。麻生さんとはいつからお付き合いを?」
愛斗さんの唐突さに、私は目を丸くして驚いた。
「まだそういう仲じゃないよ」
私が困っていると、すかさず社長が答えた。
だけど、〝まだ〟のひと言が引っかかり、思わず彼を見つめる。