秘密の恋は1年後
それなのに、私の密かな楽しみを知ってからというもの、彼は意地悪をするようになった。
どういうわけかお兄さんとその奥さんに会わせてくれたり、これから付き合う予定にあるみたいなことを言ってみたり……。
なにを考えているのかさっぱりわからず、期待させられたまま放っておかれているのだから、本人にそのつもりがないとしても、意地悪以外の何物でもないと思うのだ。
「麻生さん、評価シートの回収って終わってる?」
「未提出の対象者には、個別でメールを送ったところです。今週中には、九割提出完了する見込みです」
部長に返事をして、回収済みのシートを保管トレイに乗せる。他の誰の目にも触れることがないよう、鍵付きのキャビネットにしまっておこう。
今は、とにかく仕事に邁進するのが一番。
まともに話すこともできないのに、以前より意識してしまうようになってしまったのは、諦めるしかなさそうだ。