クールな社長の耽溺ジェラシー
「……好きだよ。俺にとって小夏は、誰かと比べようとしてもできないくらい特別なんだ」
「特別……」
極上の響きに胸が震える。
「ああ。だから小夏にも俺だけを見てほしい」
艶を帯びていた黒い瞳が、一瞬心細げに揺らいだ。
抱き締められ、新野さんの胸板に頬を寄せると、速い鼓動が聞こえてくる。
「……もしかして、新野さんも不安になったりしたんですか?」
正司さんや広瀬さんといるとき、妬かれたことを思い出す。
「当たり前だろ。憧れた男までそばにいるんだから、気が気じゃない」
「でも、憧れと好きは違いますからね?」
「わかっていても、心配になるんだよ」
照れくさそうに苦笑すると、私を抱き締めた腕に力を込めた。
「好きだから、余計なことまで気になる」
ほの暗い会議室に新野さんの甘い声だけが響き、模型のライトがロマンチックな演出にさえ感じた。
新野さんは『俺だけを見てほしい』と言ったけれど、すでに私の頭も視界も心も、全部が新野さんだけだ。
わずかに体を離すと、誘うような視線を向けられる。
「……今度の休み、でかけるか」
「え、それって……デート、ですか?」
そういえば仕事以外ででかけたことがなかった。デートなんていう自分からはほど遠いと思っていたものに心が躍る。
「俺がどれだけ好きか自覚してもらう」
真顔なのにどこか情熱的に言うと、私の手を取って小指にキスをした。