クールな社長の耽溺ジェラシー
しばらく新野さんの完璧なドライビングを堪能し、海沿いを走っていると広い駐車場で停まった。
そばにある港には真っ白な三階建ての船が着いている。その豪奢な船体と大きさに目を奪われていると、新野さんが車から降りた。
「あれに乗ろう」
「えっ、乗るんですか!? あの船に?」
助手席のドアを開けると、私の手を取って車から降ろしてくれる。
「予約取ってるから乗れる」
「そういう問題じゃなくて……」
高いんじゃないかな。でも、こういうときってあんまり値段のこととか言わないほうがいい?
頭の中でグルグルといろんな考えが駆け巡っていると、新野さんは不安そうに眉を寄せた。
「悪い、船は苦手だったか?」
「あ、いえ……平気です。ちょっと、クルージングなんて初めてなので驚いちゃって……」
「俺も仕事で乗ったことあるくらいだな。あのときはなんにも思わなかったけど……小夏となら、ただ景色を眺めるのも楽しそうだと思って」
寄せられていた眉が離れ、唇が柔らかな弧を描く。
「今日は俺にエスコートさせてもらえると嬉しい」
手を差し出されたので、その手を取ると優しく握られた。
「じゃあ……お願いします」
「ああ、絶対楽しませるよ」
見つめ合うと、豪華な船へと向かいだした。