クールな社長の耽溺ジェラシー
独り言を漏らすと、正気を取り戻すように軽く頭を振った。
「勝つから、絶対」
ふたりしかいない空間で愛を誓うみたいに宣言されると、心臓が痛いほど高鳴りだした。ドキドキしすぎて苦しいなんてあるんだ。
「応援、してます」
短く返すと「もう、帰りましょうか」と新野さんから離れた。これ以上見つめ合っていたら、私の心臓の音が聞こえてしまう。
「小夏」
逃げようとうしろを向くと、手を取って引き止められた。名前を呼ばれただけなのに、シロップの中へ放り込まれたみたいに甘さが体にまとわりついた。
振り返ると、その瞬間に唇を奪われる。柔らかく食まれ、舌を絡み取られると思考が淡く消えていく。
「そばにいてほしい」
そばにいたいと望んだ想いに、手を差し出されたみたいだった。
「小夏がいたら、俺はもっと頑張れる」
両頬を包まれると、あったかくて熱くて、涙がでそうになる。
「勝ってください。それで、私の一番になってくださいね」
肩書きや一番にこだわるのは新野さんらしくない。でも、私の一番になってほしい。新野さんじゃないといやだ。
新野さんの腕を掴み、背伸びする。
反動で前かがみになった新野さんの両頬を、今度は私が引き寄せてキスをした。唇が震えていたことが、伝わらなければいいと願う。
新野さんの頬はほんのりとしか熱くなかったけれど、耳に近づくほど体温はあがっていて、手を離す瞬間に触れた首は火傷しそうなほど熱かった。