クールな社長の耽溺ジェラシー
「ごめんなさい、私も無神経でしたね」
「小夏は悪くない。仕事の話なんだから、普通だろ。俺が小さいだけだ」
自己嫌悪をたっぷり含みながらつぶやくと、腕の中で私を反転させた。
向き合うと、いつも冷静で落ち着いている新野さんが少しうろたえているのがわかった。
「思えば最初の設計図を見せようと思ったのも嫉妬だったのかもしれないな」
私が正司さんと夕の過去を知るきっかけになったときのことだ。
「あのとき、正司さんみたいになってほしくないっていうのもあったけど、俺に憧れてほしいとも思った」
正面から抱き締められ、胸板に顔を寄せた。
骨が軋むんじゃないかというくらいなのに、すごく心地よくてもっと強く抱き締めてほしいとも思ってしまう。
「やっぱり、小夏がほしい。まだ、我慢しようと思ったけど……」
「が、我慢なら……もう……」
しなくてもいい。そう言いかけたとき、今度はテーブルに置いていた新野さんのスマホが音を立てた。
「……タイミング悪すぎだろ」
がっくりと肩を落とし、スマホを見る。
「施主からだ。悪い」
そう断って、電話に出ると二言三言交わして電話を切った。