クールな社長の耽溺ジェラシー
九章:


金曜日の点灯式は想像していたよりもずっと盛大だった。

イベントを企画したクライアントはもちろん、都の関係者や多くのメディアも集まった。

閂建設からも社長が出席し、夫人である瀬那さんも仕事ではなくプライベートとして出席していた。

今回のメインデザイナーとして新野さんが挨拶したものの、私や広瀬さん、正司さんはあくまで裏方で、万が一不具合が発生したときのために控えている。

なので、ステージとは違い、ライトのひとつもない人だかりのうしろに作業着を着て立っていた。

式が滞りなく終わり、ライトアップした場所を回りながら問題ないことが確認できるとやっと仕事が終わる予定だ。

「こなっちゃんのウェルカムマット、雰囲気あっていいな。絶対、春バージョンも見に行く」

広瀬さんがスマホで何枚も写真を撮りながら褒めてくれた。記録写真を撮っているのではなく、個人的な趣味らしい。

「ありがとうございます。広瀬さんの並木通りもメインまでちゃんと人が流れていますよ」
「だろー、いい感じ」

私と広瀬さんは達成感いっぱいに笑い合った。


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