クールな社長の耽溺ジェラシー
「まだ緊張してるのか? 飯だけなんだし楽にしたらいいだろ」
「すみません、いろいろ連れて行ってもらっているのにいまだに慣れなくて……。あ、そういえばこういうところってドレスコードがあるんですよね?」
「あるかもしれないけど、引っかかるところないだろ」
私を見つめた新野さんは余裕たっぷりに微笑んだ。
今日は新野さんとの予定があったのでシックな色合いの膝丈のワンピースを着て、パンプスも履いていた。新野さんもイベントに出ていたのでパリッとしたシャツにスーツのジャケットとタイトなパンツを合わせ、よく磨かれた革靴を履いている。
背が高く、スタイルもいいので雑誌から飛びだしてきたみたいにとても似合っていた。
引っかかるところがないとわかっていても、運転中にパトカーがうしろについたときみたいに落ち着かない。
「まぁ、席に着いたら……力も抜けるだろ」
エレベーターが目的の階に着くと、新野さんがさきに降りて、ドアを押さえてくれる。
「小夏に見せたいものがあるんだ」
わくわくした子どもみたいな笑顔に、宝物を隠したから見つけてと言われているみたいだった。