クールな社長の耽溺ジェラシー
ライトアップされた街を見て緊張はほぐれ、おいしい食事を堪能するとタクシーで新野さんの部屋へやってきた。
前回、食事をつくったときは無我夢中であとから意識してドギマギしたけれど、今日は違う。最初からそのことばかりを考えてしまい、足がすくみそうなほど緊張していた。
リビングへ入ると、新野さんがソファに座るようにうながしてくれる。
「ミルクティー、淹れようか? それともほかのにする?」
「あ、ミルクティーで」
甘いものでも飲めば、この緊張もほぐれるかもしれない。あと、深呼吸。
すーはーと息を繰り返していると、あっという間にいい香りを漂わせた新野さんがソファにやってきた。
新野さんはコーヒーらしく、カップをテーブルへ置くと隣に腰掛けた。
「あ、ありがとうございます。いただきます」
機械仕掛けみたいにギクシャクとした動作でカップを口へ運んでいると、新野さんがクッと短く笑って肩を揺らした。
「怯えすぎだろ。無理に襲うつもりはないんだけど……もしかして、俺が下心を隠しきれてないのか?」
「し、下心っ……か、隠してたんですか?」
ミルクティーがべつのところに入ってむせてしまう。新野さんは笑いながら優しく背中をさすってくれた。
「隠してるよ。小夏がいれば……いつだって触りたくなるんだから仕方ないだろ」
間近で目が合い、情熱的な言葉と同じくらいに熱っぽい視線を送られる。緊張よりも体の熱さが少しずつ上回っていく。