クールな社長の耽溺ジェラシー
翌朝、目がさめると見慣れない天井に目を瞬かせた。すぐに隣から寝息が聞こえてきて、昨夜のことを思い出す。
幸せな気持ちと照れくささが湧きあがってきて、心の中でじたばたと悶えながら、寝返りを打って夕の寝顔を見つめた。
きれいな寝顔のお手本があるなら夕の顔をしているんじゃないかと思うくらい整っている。
密かに胸の鼓動を速くしていると、その端正な顔がぴくりと動いた。
「ん……小夏? 起きてたのか」
もぞもぞと動くと口元を手で覆い、あくびをする。潤んだ目で私を見つめると、そっと頬にかかった髪をかきあげて耳に触れてきた。
「おはよう」
昨夜の微笑みよりさらに糖衣をまとった笑顔に、ただでさえ高鳴っていた胸がさらに音を大きくした。もう、聞こえてしまいそうだ。
「お、おはよう」
彼氏と朝を迎えるってこういうことか。恋をしてはじめて知ることが多い。想像以上にときめく体験に胸の鼓動はやっぱり落ち着きそうになかった。
「……小夏、こっち」
布団の中で肩を引き寄せられ、胸に抱かれる。裸の背中に夕の大きな手が触れ、昨夜の記憶がより鮮明になった。
「も、もう少し離れてもいい?」
「そばにいてほしいんだけど」
背中に触れていた手が力強く私を抱き寄せる。離れたくないと言われているみたいだ。
「こんなに独占欲、強かったかな」
ぽつりとつぶやく夕に私はくすくすと笑ってしまった。
「どうした?」
「ううん、なんでもない」
ちょっとかわいいと思ったことはあとでこっそり話そう。夕の照れた顔、じっくり見たい。
「……ま、いいか。小夏が笑ってくれるなら」
額にキスをすると、夕は静かに目を閉じた。
もう少し、このまま。
窓辺のカーテンを透かして差し込む朝陽に逆らうように、再びふたりで眠りにつく。
目が覚めて、夜になっていて暗かったとしても、ふたりで明かりをつけて過ごせばいい。
見えない未来も、ふたりで歩いていきたいと夕の腕の中で強く願った――。