クールな社長の耽溺ジェラシー
「かわいいけどな」
「ま、またまたぁ……」
長い指が私の髪をスルリとなぞる。
手慣れた仕草から、女性を口説くようなタイプに見えないけど案外たらしだったりするのかも、なんて思ってしまう。
「あの、からかってますか?」
「いや、まったく。まぁ、そう思いたければ思えばいい」
甘い言葉をくれたかと思ったら、あっさりと突き放される。計算されていない強弱は本気かどうかわかりづらい。
「思いたければ……って、子どもっぽく思われることが多いのでつい疑ってしまって」
「そういうことは気にするな。さっきの“かわいい”もそういう意味で言ってない。少なくとも俺には子どもとして見えないな」
まっすぐに見つめられると勘違いしてしまいそうだった。……たぶん、頭が動いていない。全部暑さのせいだ。
「え、えっと……それよりも仕事を……」
「この腰のラインとかかなり好みだし」
薄手のジャケットの上から腰をやんわりとなでられる。
「っ、に、新野さん!?」
「いい体してると思う」
「ふ、ふざけないでくださいっ! 仕事っ! ちゃんとしてください!」
この人の言葉に裏も表もないことは知っている。だからこそ、動揺してしまう。
「ふざけてないけどな」
余裕の笑みを浮かべる新野さんに、私の胸はまた大きく跳ねあがっていた。