クールな社長の耽溺ジェラシー
「も、模型、ちゃんと精巧なものを作ります」
「ああ、クライアントに納得してもらいたいからな」
艶を帯びた笑みから白い歯を見せた新野さんは、本当に私のデザインを気に入ってくれているようだった。
嬉しいけれど、笑顔が眩しくて笑い返す余裕もなく、模型を作る箇所を必死にメモするふりをした。
せっかく褒めてもらったんだから、ちゃんとしたものを作ろう。
「模型、間に合うか?」
「はい、大丈夫です」
「そうか、なら頼む」
私は大きくうなずいて、CGの手を進めた。まずはこれを仕上げないと。新野さんが私の案を認めてくれた嬉しさで、今なら倍速で作業が進みそうだった。
しばらく作業を続けていると、新野さんが「少し休むか」と提案してくれた。
「じゃあ、飲み物を用意してきますね。なにがいいですか?」
「悪いな、冷たければなんでもいいから」
「わかりました」
会議室から出ると近くの給湯室で来客用のアイスコーヒーを用意し、私は近くの自販機でミルクティーを買った。
戻ると、会議室のイスに並んで座り、未完成の図面が表示されたパソコンの画面を見つめる。
休憩が終わったら数値を直して、あそこを動かして……と、このあとの修正を考えていると、新野さんが思い出したように口を開いた。