クールな社長の耽溺ジェラシー
「そういえば、この部分……なにか案はできたか?」
長い指で、テーブルに置いた図面をこつんと指した。
そこはメインとなっている場所へつながる並木通り。
必要であればリーダーである新野さんの手直しを入れるという条件つきで、広瀬さんと私、どちらかの案を採用しようということになっていた。
「それがまだ……なんとも。いいものが浮かばなくて」
もごもごと言いよどんでいると、新野さんは怪訝そうに眉を寄せた。
「こんなにいいものができるのに? 難しく考えすぎじゃないか?」
新野さんはさきほどのウェルカムマットの部分を指した。
「これは、これ……といいますか」
ウェルカムマットと同じような設計をして広瀬さんに勝てるかどうか。そう考えると図面を描けずにいた。
「メインの空間に人が流れるようにする、そう話し合ったよな?」
「はい。なので、歩き進めると色が変わったり、場所によって点灯の仕方が変わったり……だんだんとクリスマスのカラーが強くなっていくのもいいかな、というのは考えています」
ライトアップの時期は冬だ。
クリスマスを取り入れれば、自然とロマンチックなものになり、カップルにも好まれるし、メディアにも取りあげられやすいはず。みんなが歩きたいと思う、光の道を作りだしたい。
私の答えを聞いた新野さんは「ふーん……」と言いつつ、あごに手を当てた。