クールな社長の耽溺ジェラシー
「に、新野さんは……」
「俺はいい」
「でもっ」
「いいから」
タオルの上から頭を大きな手でくしゃくしゃにされる。
新しいタオルはあまり吸収がよくなくて、ぽたぽたと滴が飛び散ったけれど、構わずに拭き続けてくれた。
「とりあえず俺の家だな」
私をひとしきり拭いた新野さんは、自分が濡れているのは気にせずエンジンをかける。
「へ!? い、家……ですか?」
「ここから近いんだ。風呂と服を貸す。それから小夏の家に送る。
ただでさえ熱があるっぽいのに、風邪ひくぞ」
ワイパーを最速にすると、豪雨の中を走りはじめた。
「え、で、でも……」
本当に熱はないのに。むしろ原因はそっちにあるのに、これ以上一緒にいたら熱があがる。
しかも腰を触った前科だけじゃなく、さっきも会議室で抱き締められた。
思えば、頭をなでられたことも多いんだった。そんな危険人物の家に行くって……。
しかも今、告白されて気まずい状況。これ以上、ふたりきりになって私が平常心でいられる自信がない。