クールな社長の耽溺ジェラシー


「正司さん……橋のライトアップ、受けてください。あらためてお願いします」
「そんなに見たい? 僕は才能がないから、変わったことはできないよ?」
「才能ならあります。……正司さん自身が気づいていないだけです」

新野さんも正司さんの力を知っている。なのに、本人が見ようとしないのはつらかった。

「正司さんに、自分の力から逃げてほしくないです。ちゃんと……戦ってほしいんです」

気持ちをすべて伝えたいのに、曖昧なことしか言えない。歯がゆくて唇を噛んでいると、正司さんはくすりと笑みをこぼした。

「高塔さんは強くなったね。入社したころは僕のあとをひたすらついて来ていたのに」

しんみりしていた空気がわずかに和らぐ。

「僕は許されないことをしたんだ。……けど、新野くんに最後のチャンスを与えてもらっている気がする。……やってみようかなぁ」

あまりにも「夕飯はあれを食べようかなぁ」みたいにふんわりと口にするから、一瞬聞き逃しそうになった。

「し、正司さん……!?」

慌てて食いつくと、楽しそうに口を開けて笑っていた。その顔は今まで見たことないくらい活き活きしている。

「やるよ、橋のライトアップ」


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