美魔王さまと結婚したなら
「えぇ…。あ!そしたらお父さん!」
「ハイハイ!なんだい夏美!」
私が呼びかけるとひょいと顔を出すお父さんに、私はこう言った。
そう、普段は甘えることは無い。
何せ、私を最大限に甘やかし安心させてくれる相手は既に隣に居るから。
現在もリビングで繋いでいるこの会話を、しっかり隣で聞いている明さん。
しかし、いい加減楽しみなのは分かるが買いすぎである。赤ちゃんグッズの購入阻止の為、私は背に腹は変えられぬと、とある事を口にした。
「だいぶね、お腹も大きくなってきたの。私頑張ってこれから妊娠線ケアをして戦わなきゃならないの!そっちのいい感じの妊娠線ケアクリーム買ってほしいの!クチコミも良くて!お父さん、お願い!」
すると、画面の向こうの父がプルプルしている…
「ジェイド!聞いた!?あの夏美が!なかなか希望も要望もおねだりもしてくれなかった夏美が!僕にお願いを!!」
それをチラ見して義兄は苦笑している。
どうやら義兄は私の策を理解した模様。
「夏美!もちろん、夏美のお願いを聞かない訳が無いよ!沢山買って帰るからね!これはこうしては居られない。ジェイド、僕は夏美のお願いの買い物行ってくるから!」
「はいはい、父さん気を付けてね?」
パタンと部屋を出る音を聞いてから、ジェイドはクスクスと喋り出す。